技術コラム
アルミ材質の種類と特徴|材質別の切削加工のポイント
アルミニウムは、軽量で耐食性に優れ、さらに加工性も高いことから、産業機械、半導体製造装置、自動車、医療機器、航空機部品など、幅広い分野で使用されている金属材料です。一方で、アルミ材には多くの種類があり、材質によって強度、粘り、耐食性、切削性、変形のしやすさが大きく異なります。
そのため、アルミ部品の加工では「どの材質を選ぶか」も重要ですが、「その材質に適した工具・切削条件・加工方法を選定できるか」が、品質やコストを左右する重要なポイントになります。
本記事では、アルミ加工に関する基礎知識から、代表的なアルミ材質ごとの特徴、切削加工時の注意点までをまとめています。
アルミ部品の設計・調達・加工先選定でお困りの方は、材質選定や加工コストダウンの参考としてぜひご覧ください。
アルミの材質・種類とは?知っておくべき基礎知識

アルミは鉄や銅の約3分の1という軽さで、自動車や航空機などの軽量化・燃費向上に大きく貢献する材質です。さらに表面に強固な酸化皮膜を形成するため錆びにくいという強みも持ち合わせています。
材質選定のポイントは、1000系の純アルミから7000系の超々ジュラルミンまで様々あるアルミの特性を製品要件(強度、耐食性、導電性など)と照らし合わせることです。
例えば、純アルミは引張強さが低いため、強度を求める構造物にはマグネシウムや亜鉛などを添加した合金材の選定が不可欠です。またコストの観点から考えると、オーバースペックにならないように、必要な機能を満たす最適な系統を選ぶことが、重要なポイントになります。
A1050の特徴と切削加工のポイント

純度99.5%以上の純アルミニウムであるA1050は優れた導電性や熱伝導性、高耐食性を備える反面、材質が極めて柔らかく機械的強度が低いという加工上の大きな難点があります。切削の現場では加工熱によって工具にアルミが溶けて付着する構成刃先が非常に発生しやすく、これが工具の欠けや仕上げ面の悪化を招く直接的な原因となります。また不用意なチャッキングや切削時の負荷だけで、ワークが容易に変形・歪みを起こしてしまうため治具の選定を含めた繊細な取り扱いも重要です。
A1050を高精度に仕上げるためにはドライ加工を避け、切削油を適切かつ豊富に供給するウェット加工への切り替えが必須です。さらに刃先のすくい角を大きく設計したアルミ専用工具や、摩擦抵抗を抑えるDLCコーティング工具を採用することで溶着を抑制できます。工具のわずかなへたりも製品品質に直結するため、加工前には刃先の状態を入念に確認し、最適な切削条件を設定することが重要なポイントです。
A1100の特徴と切削加工のポイント

純度99.0%以上の純アルミニウムであるA1100は優れた成形性や耐食性を持つ反面、非常に柔らかく粘りが強いため切削加工時にむしれや変形、バリが発生しやすいという課題があります。この軟質材で高い加工精度を安定させるには、工具選定とチャッキングの工夫が不可欠です。アルミ加工のプロフェッショナルである岡部機械工業では切れ味が鋭く切粉の排出性に優れたポジティブ形状の工具や溶着を防ぐDLCコーティング工具を厳選します。さらにワークの歪みや打痕を防ぐためにソフトジョーの活用や低圧クランプ、専用治具による面圧分散を徹底し、純アルミの高精度加工を実現しています。
A2017の特徴と切削加工のポイント

鋼材に匹敵する高い強度を持ちながら軽量なA2017は優れた切削性を有する魅力的なアルミ材質です。一方で、加工中に内部応力が解放されて歪みが発生しやすいというデリケートな特性も有しています。このアルミ材質でミクロン単位の高度な寸法精度を実現するためには、ワンチャッキングでの加工や切削条件の微調整による緻密な応力コントロールが不可欠です。
当社では、A2017は医療・半導体分野のお客様向けに加工を行うことが多いです。
A2024の特徴と切削加工のポイント

航空宇宙分野などで重宝される超ジュラルミンA2024は代表的なアルミ材質であるA2017を上回る強度と優れた疲労強度、高い機械加工性を備えています。一方で、銅の含有量が多いことから耐食性に劣るという課題があります。しかしアルマイト処理を施すことでこの問題を解決することが可能です。表面の硬度も増し、摩耗やキズからの保護も期待できます。
A5052の特徴と切削加工のポイント

A5052はマグネシウムを約2.5%含む中程度の強度を持つ、バランスに優れたアルミ材質です。その汎用性の高さから産業用ロボットの駆動部品、半導体製造装置の精密テーブル、自動車のアルミホイール、各種缶体まで広範囲に採用されています。さらに市場には板厚精度が極めて高い高精度プレートも流通しており、そのままベース板などへ使用できます。
一方で、5000系の中では加工中に歪みが出やすく、特有の粘り気があります。A5052を加工する際には、切削工具の選定やドライ加工でなくウェット加工を行うなど注意が必要です。
A5083の特徴と切削加工のポイント

A5083はマグネシウムを4.0〜4.9%と多く含んでいるのが特徴です。そのため耐食性が極めて高く、海水に触れる船舶関係や海洋構造物などで多く採用されています。5000系の代表格であるA5052と比較すると、「より硬く強度があり、粘り気が低い」「溶接性が良く加工中も歪みにくい」という大きなメリットがあります。ただし市場に流通しているプレートの板厚精度があまり良くないという特性もあり、製品の要求精度に応じた慎重な取り扱いが必要となります。
A5083は硬度が高く粘り気が低いため優れた切削性を有しています。A5052では工具選定や溶着対策に細心の注意が必要ですが、A5083はそこまで神経質になる必要がなく、加工条件の最適化によって加工時間を短縮し、トータルでのコストダウンを実現できるケースも少なくありません。ただし素材プレートの平面精度が低いため、板厚をそのまま活かして使用する際は精度に注意するか、プレートの削り出しを行う必要があります。
A6061・A6063の特徴と切削加工のポイント

耐食性と強度のバランスに優れ、構造材や押出材として広く用いられるA6061・A6063ですが、加工現場ではそれぞれの材質特性に配慮する必要があります。A6061・A6063はともに比較的柔らかい材質であり、特にA6063はA6061よりも柔らかいため、チャッキング時や搬送時にキズが付きやすい点に注意が必要です。また、ドライ切削では刃物への溶着リスクが高まるため、適切なウェット切削の管理が重要となります。岡部機械工業では、最適な工具選定と徹底したキズ防止対策、歪みを最小限に抑える切削条件の設定により、高品質なアルミ加工を実現しています。
A7075の特徴と切削加工のポイント

A7075はアルミ材質の中でもトップクラスの強度を持ち、航空機部品などにも採用される高強度アルミ合金です。強度が高い反面、加工時には発熱や工具摩耗、工具への溶着に注意が必要です。そのため、刃物に熱をこもらせない切削条件の設定や、冷却性・潤滑性に優れたクーラント管理が重要となります。岡部機械工業では、材質特性に応じた切削速度・回転数・送り条件の最適化により、A7075のような高強度アルミ材の加工にも対応しています。
まとめ:最適なアルミ材質の選定と加工のために
アルミは1000系から7000系まで種類が多く、材質によって強度、耐食性、粘り、切削性、変形のしやすさが大きく異なります。そのため、高品質なアルミ加工を実現するには、まず用途や要求精度に応じた材質選定が重要です。
岡部機械工業株式会社は、各種アルミ材の切削加工に対応しています。単品・小ロットの精密部品加工から、プレート加工、治具部品、装置部品、大型プレート加工まで、材質ごとの特性を踏まえた加工条件の選定により、高精度なアルミ加工を実現しています。
実際に当社では、上述した加工技術を活かし、さまざまなアルミ部品の加工を行っています。同じアルミ材であっても、部品形状や板厚、要求精度、表面処理の有無によって注意すべきポイントは異なります。加工事例をご覧いただくことで、対応可能な材質・形状・加工内容のイメージをより具体的にご確認いただけます。
アルミ部品の設計・材質選定・加工先選定でお困りの方、また現在の加工コスト・品質・納期に課題を感じている方は、ぜひ当社へお気軽にご相談ください。材質変更や工法の見直しによるコストダウン提案も含め、最適な加工方法をご提案いたします。
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