アルミ長尺部品のコスト削減・品質向上のポイント
アルミの長尺部品は、軽量で加工性が高いため重宝されています。しかし、その長さゆえに「反りやたわみ」「寸法ズレ」が発生するといった設計・加工上の難しさがあります。
例えば、長さ2mのアルミ材を単純に切削すると、切削熱や応力で0.5mm以上反ることもあります。そのまま製品に組み込むと装置の精度や性能に影響するため、可能な限り、反りやたわみを抑えた製品設計が必要です。
そこで本記事では、アルミ長尺部品における設計・依頼時の具体的なポイントを整理し、コスト削減・品質向上につなげる方法をご紹介します。
アルミの長尺加工の難しさ
長尺部品加工で特に注意すべきポイントは次の3つです。
反りやたわみの発生
長尺部品の場合、切削時や穴あけ加工の際、反りやたわみが発生しやすいですが、その中でもアルミは比重が軽く、熱伝導率が高いため、切削熱の影響で反りが出やすいです。
また弾性率(剛性)が低いため、長尺部品の場合には変形しやすく、特に薄板や薄肉部ではその影響が顕著になります。
切削時の加工精度の低下
アルミは柔らかく切削性が良い反面、切削抵抗の変化により工具が押されやすく、寸法精度にばらつきが出やすいです。またその柔らさから、加工中に部品をしっかり固定できないと精度が落ち、表面に傷やバリが発生しやすくなります。
熱膨張の影響
アルミは鋼の約2倍の線膨張係数を持つため、長尺品の加工中の温度変化で寸法が変動しやすいです。加工中や搬送中の温度差により、数百ミリの長尺でも0.1〜0.2mm単位で寸法が変わることがあります。
アルミ長尺部品のコスト削減・品質向上のポイント
長尺部品を効率的に加工するには、設計段階含め、ちょっとした工夫で、コストダウンや品質・生産性の向上につながります。
①材料規格を考慮した設計を行う
長尺部品でコスト優先での製作を考える場合には、材料規格を意識した設計を行うことでコストを抑えることができます。標準的な押出材・板材・棒材の規格の長さ内で設計すると、溶接や接合を避けられ、材料費・加工費・工程が削減できます。但し、設計上の制約もありますので、製作したい製品サイズ・形状・コストを鑑みて対応する必要があります。
②反り・たわみを抑える形状設計
アルミは柔らかく熱膨張が大きいため、長尺部品は応力が偏らない形状に設計することが重要です。具体的には、薄板や細長い形状の場合、適切なリブや補強部を入れると反り防止になります。
③加工条件の共有
長尺アルミは反りやたわみが出やすいため、必要であれば支持点・加工順序・固定方法など加工条件を確認します。事前情報共有により、段取り時間短縮・不良率低下・納期短縮につながります。
④材料選定
長尺部品の場合、特にたわみが発生しやすいため、材料購入時から、高精度材料を選定することで、無駄な加工工程を短縮できます。また、高精度材料を選定することで、ご要望の公差を満たした高精度な製品制作が実現できます。
当社のアルミ加工の特徴
当社では、長物加工や大型品のアルミ加工におけるノウハウがあります。
①専用治具の製作
大型部品を機械加工する場合は、加工精度を出すことが難しいため、専用の治具を製作し、高精度な加工を実現しています。上述のように、特にアルミの場合は、柔らかく、十分に固定をする必要があるため、こうした専用治具の製作によって、お客様の要望に沿った製品形状や精度を実現しています。
②長尺加工に適した設備
長手方向のサイズに適した設備を数多く保有しており、お客様のご要望に合わせたサイズに対応可能です。サイズに関しては、5000mmサイズまで対応可能です。
③3次元測定機の持ち運びによる測定工程の短縮化
長尺部品や大型部品は、加工後に測定をする必要がありますが、サイズが大きいため検査が非常に難しいです。
当社では、自社保有の3次元測定機が持ち運びできるため、クランプした状態で測定ができ、加工工程の短縮化を可能にしています。
アルミの長尺部品のことならアルミ加工コストダウンセンターにお任せください!
今回は、アルミ長尺部品のコスト削減・品質向上のポイントについて紹介いたしました。アルミ加工コストダウンセンターを運営する株式会社岡部機械工業では、国内屈指の最先端設備を揃えており、高精度な加工を実現する環境を整えているため、お客様のご要望に沿った製品づくりを実現いたします。
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